本当に速いもので、キャロの母が亡くなって、一年を迎えようと・・・。12月11日が命日なんです。お墓には、母の骨壷はありません。弟がどこかに保管しているのです。母を和田家の骨壷群に入れる、そういう非常識なことをしない弟をキャロは支持します。どうしても、和田家に馴染めなかった母のそういう自然のありのままを、知っているからこそ、お骨埋葬を拒んでいるのでしょう。もちろん、父やキャロには、お墓に入れたと、そう報告はします。しかし事実は違う。一度、母は余程、哀しいことがあったのでしょう。和田家は当時、五右衛門風呂で、焚き木をくべて沸していたのですが、キャロは恐ろしいことを、伯母の口から耳にします。母が、自分の母キミの宝物であり、形見の品であるお琴を、その五右衛門風呂で燃やしてしまったというのです。キャロは最初こそ、衝撃を受けたのですが、まだ、少女の時代を歩いている母の幻影や幻惑を同時に見たとそう思ったのです。お琴を薪と一緒にくべたことは、そしりを受けて当然ですが、キャロは母を許せると思ったのです。かつて軍国少年がいたように、母は軍国少女で、脇田大佐の戦死の報が届いた時から、時間がずっと、止まった状態だったのでは?と。でわキャロ元帥による炎の中のお琴の一首お願いしま~す。天国の キミのお琴を 焼くことで 軍国主義に 別れを告ぐかな