音楽に偏り過ぎたけど、マジメに短歌、いきましょか~キャロ、家の中のすべてを、詠んだんだ。冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、そして外へ庭箒、花壇、窓からも見える棕櫚の木・・・。結構大きな、一戸建て。宇部時代。平屋ではあったけど、居間の天井が高くて、小学校の、一教室ぐらいの広さはあったんだ。その棕櫚の木の葉が擦れて、風に鳴るんだ。あれを、詠めなくては、写実主義の歌人にはなれないんだよ!って自分に言い聞かせていたんだ。キャロは三好達治さんが好きで、あの堅実な描写と気質。ロマン主義なんか、吹っ飛ばしてしまうところの、深い洞察眼。どこか、教授と写真なんかで比べると似ているんだ。太郎を眠らせ・・・・・次郎を・・・・・雪降り積む。この詩を読んだときに、すでに、この詩が短歌と融合していることに、気がついたんだ。もちろん、詩全体では31文字をはるかに超えてた。しかし、それはキャロの中で、全く問題にはならなかった。まだ、中学に入学して、そんなに日は経っていなかった。キャロは、このことを知って、創作に於ける自由貿易と題して、論文もしたためた。創作に、カテゴリーは付き物だったが、そういう古いしきたりを打ち破る人間が、後世出て来るとしたら、あの詩を愛する者に違いないのだと・・・。