ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔160〕教室内の異様なほどの高まりにキャロル自身圧倒されそうになりながらじっと聞き入る。みんなから急かされたようにその少年はノミヤ!といって着席するのです。今もそうでしょうが昔は自分が発表するときはきちんと立って発表し、終わると座るのです。先生の顔も何だかいつもと違っていてそこまで見て、静かにしなさい!を放ちました。キャロルは不思議な思いに包まれ優越感をそこにいる皆が感じ取っていることに気が付くものの、この優越感に危険があることを察知してしまうのです。親の職業でこんな思いを課せられるのはきっと不合理だと先生自身が悟った心の余波かもしれないし、キャロルは自分にまで押し寄せてきた優越感を解明しなければならない義務を感じていたのです。もしもこの優越が崩壊するならそこがクリアされたことになり何の疑問も残りません。政治家はみんなの手足になって国を改善しなければならないがモノカキが為すべきは真相解明。そこに至るには、少々苦い経験や贖罪が自分を包囲することが前提で暗示ではこうでした。あの少年の憂鬱にこそ価値がある・・・。そしてそれからキャロは彼に優しくなれる生徒になったのです。