サファイア・マン《緻密な男編》〔61〕記憶障害を解くカギにもなるんですが、なぜ?四十五年も前のラブレターを中身を覚えているのでしょう。例えば今その入り口にあるキャロなら、なぜ、その文章は完全に覚えて今あるのでしょう。所々忘れているのは記憶障害ゆえ?ではなく文章があまりに幼かったからでしょう。しかし自分でこれは文才あるなあと我ながら思った箇所は緻密明瞭に記憶。恐らく記憶障害やアルツハイマーを解く手掛かりになるでしょう。闊達な感動再生が記憶保持には役に立つし、例えばその人が最も興味あるものが目の前にあればもしかしたら障害進行を和らげる効果はあるかもしれない。キャロルは所々忘れてはいるものの次はこう書きます。私は島流しに遭ってしまい、・・・・な日々を過ごしています。この・・・・は恐らく憂鬱だと思うのですが島を嶌と置き替えてみることが可能ではありませんか?まさか・・・あの四十五年前にキャロルがペンネームに嶌を持ってくるなど当時考え及ばないことです。しかし姫には直感がありました。世界に打って出るときにこの姫なる文字が自分を二倍輝かせることを察知していたからです。そして・・・キャロルはこう次に出ます。大好きだったのです、私はあなたのことが・・・。