サファイア・マン《かけがえのない男編》〔59〕みんなもおかしいな?って妙な気分になったでしょう?留年がほぼ決定の少女だったキャロルになぜ?多芸は無芸っていう言葉がでたか?って。当時数学や生物、そして音楽、美術には専門の教師がいたのです。もちろんだから美術の先生はその生徒の他の成績はわかりませんし、留年になりそうとかは全くわかりません。しかしピアノ&作曲で、譜面も書けるということで、その先生は多芸と論じてきた。当時譜面を起こせる生徒はそういません。キャロルは小学校の高学年から実は作曲を手掛けていたのです。家には録音機もありましたが作曲して紙に残すというやり方が正統だと睨んでいたし、譜面起こしくらいは一緒にピアノを演奏するライバル少女にも出来たかもしれません。彼女は留年には全く引っ掛からないとびっきり俊英の少女・・・。しかもスピーディな指使いと連打力が無ければ弾けない悲愴です。ベートーベンのこの曲でもCのランク。彼女は目を瞑っていても弾けたのでは?と思う位完璧でした。キャロルにはプレッシャーが掛かっていたのです。なぜなら、暗譜ではない方法をわざと選んでいたのです。雨だれはぽつぽつともう止んだと思っていても、まだ音続行・・・。これは当時のジレンマそのもの。留年を告げる雨だれだったのです。