語外論草は三男のいるこの集中治療室。英語で三文字、ちょっと度忘れだが、これを取り上げよう!こういう緊急事態が起こっても、全くびくつかず、対処出来る彼なんかは、脇に置いてよく考えると、みんなにもいつ、なんどき、降りかかってくるか?わからないのだ。昨日あれからお墓に参ってあんなにタヤにみんなの安全をお願いした・・・南無阿弥陀仏って三回唱えて拝んで・・・。それなのに?って。でもキャロルはシゲコの言葉にハッとしたんだ。お墓に参ったからこそ、このくらいで済んだのでは?内臓を蹴られたりして、破裂してなくて、良かったじゃないか・・・軽かったと思うことにしよう?って。そ、そんな・・・・でも一度こんなことが三男との間で四年前あった。キャロルはお墓参りを終えて下っていたら、彼が友達と登って来てたんだ。ああ、お母さん、お墓参りしてたの?って。うん!!俺も参ってくるよ、友達と。そしてそのときの彼の安堵の表情が今もって忘れられない。世知辛い先の見えない世の中だ。その中の若干名は怒りの矛先を探している。誰にでも一寸先には控えるかも?そういう艱難の時代の到来なのだと、マスクを付けて集中治療室に入るシゲコは、恐らくきゅっと気持ちを引き締めたことだろう。