パラノーマシゲコはこの教員一家の悲しい最後を見届けるように昨夜救急車で運ばれる義父とそして妻キャロル、弟を和田家玄関で見送ります。近所の病院ですが一緒に救急車に乗って病院に向ったのです。その去ったあとの寂しい路傍でシゲコは考えたのです。無一文になったら働くという弟の言葉。信じてみるのも一理あるかも・・・と。正直言って、これまでは全く信じてはいなかったのがなぜ?こうして姉にすがって来る弟の迫真を見たのもあったし、この不遇なる姉弟のこれまでの長い不運を思ったのである。自分はいい方かもしれないと。年金も少ないがある、忸怩たる思いで定年になり、行員の誰ひとり、お疲れ様でしたとは言ってくれなかった。その本当の理由も読めた気持ちになっていた。この弟への不屈の愛だ。もしも自分にそれがあったなら、義兄としてもっと慕ってくれたことだろう。原因は何を隠そう、自分にあったのだ。ハウエバーこの三人の前途が奇跡の薔薇色になるのなら、僕は迷わず祝福しよう!!と。何を置いても家族だから。