ルビー・ウーマン《黎明編》〔29〕われわれという言葉に、ハッとする大佐です。自分は、われわれの中には、入ってはいないという直感であり、自意識です。神は、有能かもしれぬ、しかし、情け容赦がないかもしれぬ、秘密裏に、自分には伝えず、進行した場合、どうなるのか?そういうジレンマを読み取られているな!と感じたのは。次女に関してすべてを把握していたことです。終戦後、すべての人々との歩調合せのときに、この娘は頭が錯乱しそうになって、パニックになっていたこと。世の中がひっくり返って、普通なら、気ちがいになってしまう所を助けたのが、母や、姉や、妹だった・・・。ここに、二人の親がいる。母親はお前の次女、頭はまっしろ状態、言わば、それは快挙なんだよ、キャンバスだからだ。そして・・・父となる男、台湾のキールン防備隊で、終戦を迎え、長崎が原爆で吹っ飛ばされて、街も失くなり、人々もいないという情報に打ちひしがれた。そして、復員もマラリア熱で遅れた。翌年の三月、復員するときの船の名前?槙でした。お前が忘れるはずもないその槙がこの図書館男を、運んだんだぞ!脇田大佐は敬礼しそうになる自分の手を抑えます。