自分が持つ、あがなえぬ過去、それこそが、四歳の時に加害者となった、あの事件。住吉のアパートを引っ越さなければならなくなった要因でもあった。キャロは、隣に住む、男の子を階段から突き落としてしまうのだ。そして、両親が懸命にキャロを守ってくれたあの事件。遊べるよね?って前の日から、約束をしていたのに、今から行こうとして、階段で会ったときに、もう遊べないって。その言葉を聴いたときに、キャロの手が、動いた。手加減するんだ!って誰かの声が聞こえて、一瞬、手が止まっていたけど、やはり、突き落としていたのだ。そういう小さいときに、犯した犯罪って、あなどれないのだ。キャロの中には、そういうカッとなる素因は今もあるし、それは、あがなえぬ・・・と表現して妥当だろうと。時折、夢でうなされて、夜中、起き上がることもある。父はその事についてを覚えていないって、今は言うほど時間が流れた。53年という歳月がたってもキャロはあの階段が目に浮かぶ。頭を数針縫った、あの男の子、どうしているのかなあ。今こそ謝りたいな、そうすべきだとキャロは思うんだ。とっさに、手加減するんだ!と耳元で囁いた声。もしもあの声がなかったなら、どうなっていたのか・・・。今思えば、キャロを救った声だったのだ。でわキャロ元帥の春のオートロックについての一首をお願いしま~す。あがなえぬ 過去持つ者に まぶし過ぎて 春は突然 オートロックに