長崎支店の支店長が玉井さんっていうこれ又、優しい支店長に変わってね、名案を考え出すんだ。もちろん、宿矢教授を最も速く、出世街道に導いた月俣さんには、赤ちゃんが誕生した後に相談はしていたみたいなんだね。赤ちゃんが先に出来た結婚でも恥ずかしがることは、全然ないんだよって、月俣さんや、玉井さん〔月俣さんは後の監査役、玉井さんは後の常務〕言っても、宿矢教授、中々、首を縦に振らないんだ。つまり、しばらく別居でもいいってそういう考え。生まれて来た赤ちゃんも悩んじゃうよね。一回、泣いて泣いて、赤ちゃんが出てくるかも?っていう位、破水も覚悟でお願いしても駄目。赤ちゃんが生まれる十日前。その時は逆上泣きしたけど、もう少し、我慢してくれって。この時の失望ったらなくってね。キャロその頃もまだ丸善団地のテッペンに住んでいるんだけど、家を留守にして、ほとんど、宿矢教授のマンションに行って、料理を勉強したり布おむつを洗濯して乾かして、そのたたみ方まで、研究してね。本当に、今度は良い妻になろうと、決死の覚悟だったんだ。目覚町の村田ビル。そこの一階にポケットというスナックはあったんだ~鍋を作ってみよって、生まれた赤ちゃんを抱いて、浜口フードセンターまで買い物に行って作った。寄せ鍋ってか、なんでも入ったちゃんこ鍋。あんまり力が入っていたのかなあ。宿矢教授が食べるときには、全部、溶けていたらしくって。泣いたよ~キャロが全力投球になる時って、周りがなんにも見えなくってねえ。だから、今があるのかなって思うけどね♪その頃の育児日記を最近見つけて、倒れそうになったんだ。感謝の気持ちで、一杯。キャロ、これが自分?って。しばらく呆然となったんだ。