ブラックオニキス・マン

 カラオケに行き、そこで知りあった初めての人たちの中には、凄い人物もいる。母が今回、知ったのは、40代の男性で甲子園に流れるテーマソングだった。歌い方、さび、高揚を自分なりにアレンジして、他にはない!!と言わしめる効果を内蔵した歌唱だった。それに酔いしれ、耳に入れながら、十八番(おはこ)について、深く洞察に及んだ母がいた……おはこは、本人が提起したものを、他の人々が認めてなおかつ、称賛した場合に生まれるジンクスである。だからこそ、おはこになる。当然拍手の雨は貴重になる。手前味噌の反意語である。