エメラルド・ウーマン8

 質素で考え方が地道だった母の生家は、地元では初めて近衛兵をつとめる男子を出す程の名家。しかし、女性はすべての面で男性とは別枠で評価されました。目安が男子とは違っていたことで母なりに、和裁を選んだのだと思います。子育ては出来て当たり前、他に何か出来るのか?で評価はそのつど決まっていく。母が私たち子供に、自立自営の大事さを口を酸っぱくして解くまでもなく、稼ぎのない夫を支えることが出来る女性であるためには、何を、習得しておるべくは、言わずもがな伝わっていました。幟絵師の仕事は立派な生業ではあっても、定収入があるわけではない。母はそこを最も理解して芸術の脆さについても及んだものと私は鑑みる。口に出さず子供に伝えようと試みたのだと…