まだ、あの映画の感触が頭に残ってジャン・ギャバン。素晴らしい俳優だったんですね。この望郷はあたし途中から見たり、最初だけ観たりで全部を通して見たのは初。あんなに可愛い世話女房タイプの恋人がいながらどうしてまた、人の愛人なんか、好きになるのでしょう。カスバという地名も覚えます。アルジェリアのある街のようです。そこでお尋ね者として身を隠すように暮らす主人公は、ひと目惚れをしてしまう。宝石を身にまとった女。最初は貴婦人かと思いきや誰かの愛人だったんですね。宝石を一度はその愛人に返そうとしたのに、やっぱり、手切れ金として、これは貰っておくわね?って。本当に彼女もお尋ね者を好きになったようです。しかし流れ者でしかもひと目惚れの直感愛。二人の恋愛は散っていく・・・その別れを決定的にする船の警笛も悲しくて耳を塞ぐ彼女。好きな人の為に命を賭してしまった男を演じたジャン・ギャバンが主張しているのは、男という類い稀なる、生きものです。身勝手っていうか、本当に悲しむ恋人のことなんか、何も考えてない。これまで尽してくれたのに・・・。それなのになぜ、ここまでみんなを翻弄出来るのでしょう。恋は、フランス人に語らせよ!!っていうあの言葉…案外合ってるかも・・・。映画の中で元歌手の婆さんが自分のレコードだ!!って聞かせたあのニューヨークを歌った歌詞に拍手です。アメリカがどれだけヨーロッパの国々の人々から恋い焦がれられたのか・・・。そこがじんじん伝わってくるシーンでしたね。