ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔163〕夏も終わるというその頃、まだ、弟が二歳くらいで蚊帳の中に寝ていた真夜中で、蚊帳の中には弟の世話をするため母もいました。ぐっすりみんなが寝入っているときキャロルの腕を何かが這う感触に驚き目覚めます。そしてその感触が何なのかわからないうちにも余りの恐怖でそれを撥ね退けてしまうのです。キャ~~~キャー~~~この叫び声が全員を起こしてしまう結果になるのです。今思うと毛虫のような触感で、あれがまさか、噛まれたら怖いムカデとは・・・・。なぜ、なにゆえ、毛虫のようにフワフワだったかはわかりません。しかし夜中に自分の腕を十センチくらいの生き物が徘徊する、田舎ゆえの難儀かもしれないし、父はすぐに飛んで来て、蚊帳の中を一斉捜査し、どうやら逃げたようだよ、蚊帳の中にはいないから安心しておやすみ・・・って。キャロルが目覚めてしまい、もはや眠ることは出来ず、父の言葉も信憑性を欠き、そこはみんなはわかるでしょう。蚊帳にいないといわれて安易に信用出来ないと思ったし、蚊を防ぐための蚊帳も、入ってきたムカデを温存するテントになったという恐怖。いつも組織に飼われていては危険も生じるリスクが明らかになっていて、キャロルにとっての蚊帳はただそれに入って楽しむに終わらなかったことが断然良かったと思うのです。組織にキャロルが関われないのは、父がもうムカデはいないよ!と明言しそれを聞いた受動態経験が物語るのです。