サファイア・マン《面白い男編》〔39〕秋頃でしたが、いきなりの事件に見舞われます。ナンバーワンともツーとも目される女性のヘルプで付いたときでした。彼女は同伴出勤で八時半からしか出てこない、その顧客はお役所勤務で老齢マジカでしたが、ほんのこ一時間がキャロルの墓穴を掘ったのです。君、いま、何が一番欲しいの?時計です!開口一番の凛々しい言葉に参ったとでもいうのでしょうか?時計か・・・それは三万円以上する時計なのかね?わかりません、指輪になった時計なんです。キャロルはまさお君のお母様が付けていた指輪時計の魅惑からまだ抜け切れずにいたのですが、その顧客は、もう半分酔っていたのでしょう、こう言うのです。三万円以内なら俺が買ってやる、今から買いにいこう!!い、今は仕事中です。いつなら、いつなら行けるんだ??それは昼間なら大丈夫です!!そうか、わかった!!そういって、その顧客は精算を済ませるとさっさと帰って行くんです。キャロルの固定電話は教えましたがそれをすぐに墓穴だと気が付かなかったのは、何も悪いことはしていないとの自信があったからです。しかし瞬く間に、三日もしないうちにキャロルはおねだりする女に成り下がってしまうのです。どのテーブルでもヘルプでも付けてもらえなくなるのです。ナナさんと恵理だけはいつものように大丈夫でしたが、顧客と知り合うチャンスがメッポー激減するんですね。あゆみは人の顧客も取る女、加えておねだりするとは、モッテノホカとなったんです。