サファイア・マン《緻密な男編》〔6〕オーナーは商事会社も経営していたので、周辺企業家からは社長と呼ばれていて、ジャック・ニコルソンに風貌が似ていた。テーブルを回るたびに、上機嫌になった時のみ、僕はあのジャック・ニコルソンに似ているって言われるんです~は~はっはっは~ってね。そういえばあの恋愛適齢期は秀逸でしたよね、ああいう恋愛ものが彼には似合う。このオーナーも格式ばった部位と砕けた部位を両方兼ね備えていて、興味深いな♪とキャロルは思っていたし、いつかはこのオーナーに従業員として認められたい!ってこころの底で上位入賞を狙っていました。結果は四年間の間で、二位が一回だけ、あとは七位くらいをさまよっていました。前に立ちはだかる6人はやはりベッピンだったし、上品で、博識、さりげない心憎い気配りがあったなあって振り返るんです。奇しくも昨日テレビ放映があって池島炭鉱がまだ栄えた頃ですからね、炭鉱の人々も上から下まで来ていました。懐かしくて画面を食い入るようにかぶりつきになった程。それくらい上得意だったから。キャロルのお客様ではありませんがこの島がそうだったのか・・・こんな遠い場所から来ていたんだなあ~っていう深い感慨に包まれて恐らくは滋ちゃんもこの人達の何人かを知っているかも?と思いましたが冷戦状態ゆえに声は掛けませんでした。この頃のキャロルのいたクラブ、成績優秀者上位七名までくらいかなあ?札幌雪祭りにオーナーみずから御招待で引率してくれたんですが、あいにく一度もキャロルは引っ掛かりません。というのもそれはパーティ券の売り上げに基つ”くご褒美、クリスマス商戦と絡んでいたのです。翌年の二月のその旅行を思い浮かべホステス全員が猪突猛進しました。