ルビー・ウーマン〔復讐の館編〕〔38〕母がなぜ?兄を尊敬し、敬愛し、一目置いたか、キャロにもよくわかりました。伯母も、興奮冷めやらぬ、そういった、都会による先制パンチを食らっていたのです。サンシャインビルの頂上で、目眩を覚え、座り込みそうになります。高所恐怖症だったからです。キャロも伯母も、こういった、洗練に慣れてはいなかったのです。そして、極めつけは、宝塚のプレミアムショー観覧でした。一体全体この国は・・・。近眼で、しっかり細部まで、見えなくとも、きらきらした、扇動は、キャロのこころを、脅かしたのです。田舎に住む人間どもが、一生、ついぞ、お目にかからぬ、経験と心象こそが、この実態なのだと。キャロは脳裏に刻み込もうと、憤怒しました。この現実に即した感覚を感動を忘れさえしなければ、一生、田舎に居ても、いつかは、這い出すことは可能なんだと・・・。