ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔8〕その喫茶店は、歩いて二分圏内にありました。入ると、アップライトのピアノがあるので、すぐに尋ねました。店主は娘が弾いていたんですよ・・・と。キャロは、昔の音楽の話がわかる人だな!とそう思って、話しかけました。レコードや雑誌類が、話の豊富さを、物語っていた・・・。キャロは、すぐに入店してきた、富裕層の男性と話してしまいます。ピアノ、一台が、役割を果たしていたのです。それでも、弾かせて下さい!とは、言いません。ピアノに蓄積された想い出を、考慮するからです。キャロは母がいつも、伴奏して発声練習に励んだあの歌を思い出してしまったのです。お瀬戸〔せど〕のひなたで、鳴いてる雀、あ~れ~は小雀、ひとりぼっち・・・・・私もお留守居、ひとりぼっち。