アクアマリン・マン《真春と真秋の間編》〔23〕俺のようにわがままな人間は他にいないのでは?とそういう思いに到達すると途端に自分を客観的に見つめることも出来て、独身生活の暮らしぶりをもしもクラスメートが見たらばびっくりすると推察する。しかし俺の身辺まで深く介入してくる友達もいないことで、俺の心配は杞憂で止まる。誰しもが、俺が離婚などしていないとそうかいかぶっているし、その思い込みは有難いものであって、決してこっちを不安にさせるものではない。このところ、皆が、俺から僕への移行を始めていて、俺だけは僕地帯には進入しないぞ!!って心を引き締める。ボクなんぞと自分を呼び始めた時から、男の譲歩も腐敗も始まるし、強い危機感が俺に俺のティラミスを購入させる。このティラミスを明らかに真似た商品が他のコンビニから出現したときに、俺は俺路線の大事さに気が付く。舐められていかない為に、僕を自分の周辺から払いのけて行く作業は早急に求められていて、もしも日本の男子が全員俺と自分を呼称しなくなっても俺を死守する考えでいる。この気持ちがきっとこの国を一丁前にしていくのだ。僕を言う者たちを、しかし、あえて責めない。彼らは生き延びていく為に、言葉の選択を迫られたに違いなく、その一幕が想像出来るだけに、俺は今、責めないのだ。