ルビー・ウーマン《ジーニアース編》〔134〕母の横暴さや強引さはこの家だから許されていて困った性癖もありました。決まって喧嘩の原因は母の思い込み。そのことにやがて気が付いたキャロルは父が心底可哀想に思えるんですが、それをまた翻すような思いにもなるんですね。おもに母が気にしていたのは、前の奥さんと愛していたのに別れたのでは?という懐疑。父はそのたび否定はしていましたが、キャロルは父のように優しい性格ならそれもありうるのでは?との思いをムーブにするのです。そしてもうひとつは金銭の流れでした。父はひとり息子。出戻ったひとつ上の姉がタヤの生活費の面倒は看ていたものの長男としてタヤへ少しでも渡したい気持ちがアパート時代からあったのでしょう。そこを見抜いた母は、タヤには一銭も渡してはいけない!と強い希望を出していました。母は、逐一金銭の流れを聴き、おかしいと感じたときには父を問い質していてそれが喧嘩の原因だったのです。愛と金銭が人生の主要項目を牛耳ることに恐怖に似たものを感じ、キャロルは自分の人生はそういったものに左右されるべきではない!と断じて思うのです。家庭だけを守りたい!そういった母の必死の攻防はわからないでもない、しかしやはり思い込みが母の人物像を狭くしてしまったのも事実です。邪推は邪道なのです。