サファイア・マン《緻密な男編》〔104〕キャロルは決心していたことがあったのです。今度の出産では帝王切開を選ぼう・・・と、そしてその思いの先にあるのは出産で死なないためでした。前回の出産で出血多量になっていたこと、千六百CCの血液を輸血したことが主な原因でしたが、駆けつけた母が放った言葉が示唆になって決めたのです。出産でこういう輸血、これまで見たことない・・・と。慟哭があったのでしょう。キャロルには危機感が芽生えて来たのです。まず自分自身の命を守るために奔走しなければ!とそう思ったし、それもこれも子供達が大人になるときの為でした。国を根底から支える書き手になることが予知としてあったのです。出産ごときで死ぬ場合など一寸もあってはならない。非常に自己中心的のようですが、明解なセオリー軍略のもとにいたのです。自分は子供をこの世に出すときの力にも欠けているように思えてならなかった、それは陣痛が弱いということです。やたら長い時間、弱い陣痛に悩まされとうとう自分の出産傾向を知った!ということもあるのです。絶対帝王を選択してからはキャロルはかなり強豪になっています。どんな惨事も乗り越える無敵を身に付けたとするなら難産が原因だった・・・と言えるでしょう。