キャロルは一緒に行った岩崎という理美容室で週刊誌を読んでいた。俺は下世話な週刊誌だが、あいつは、下流老人という言葉にハッとさせられていた。その週刊誌では三百万の年収の人々と七百万円の年収の人々の差異を比較検証していたのだ。完全に三百万の部類、下級に入るキャロルと俺だし、イオンに週一回通うっていう点でも合ってる。七百万円になるとこれはかなりリッチだ。子供の教育費も堂々捻出出来るし投資にも興味ありって。もっち普通車所有だ。キャロルはこの店の料金体系に目を奪われる。平日昼十二時から三時まではカット699円なのだ。白髪染めが平日朝十時から十二時で1980円。来週は必ず髪を染めたい!っていうキャロル。髪はめくるとホワイトラッシュで大変なことになっているのだった。デルスカイしておこう。キャロ刈りだ。ここは490円で常時丸刈りしてくれるらしい。キャロ刈りとはキャロル自身が無造作にかつ斬新にそんときの気分で切ってみちゃう文豪カットだ。