サファイア・マン《かけがいのない男編》〔125〕シゲルちゃんが病室に駆け込んできたようにいずれ母も遅かれ早かれやってくる・・・。そう推量してキャロルは何が母を不愉快にさせているか、その吟味に入ります。病室である事にも気がつきます。今まで四人の子供を出産して一回も花をもらえなかったことです。寂しいな・・・とそう思います。そういう親子がイッパシになれるでしょうか、みんなから本来祝福されるべき子供であるのに・・・。大きな課題を得たキャロルは58歳の母に強襲してきた主婦の大変さに思いを移すのです。専業主婦の大変さを母はもろに感じていただろうし、一番下が、一歳一ヶ月ということもあります。魚を焼いていても絶えずベビーベッドを見に行くし、小学校から帰って来るとおやつもあげたい。それよりまずこの小学生に、おつかいにいってもらわないといけない。母は早い段階でベビーカーを押して買い物にいくという労苦から逃れ小学生のお使いに頼る状況にいたのです。二歳下の弟はまだ、小学校入学前ですから家の中にいるものの目を離すことは出来ません。そして最も辛い難敵は娘の旦那さま・・・。どうしたものか?と気を張り詰めます。なすびの田楽とサンマの塩焼きを出したとき、もうおかずはないの?と結構露骨に言われたのです。まだ、会社に家族のことを申告しないでいる輩が言えるセリフではないはずだ・・・と。