俺が命令口調に変ったのは、20代後半で、支店長代理になったとき。それまでは、普通の紅顔の美少年。銀行で、入行してすぐに、寮でいじめに遭い、そのあとは、カウンターで、とんでもない虐めに遭う。女性からだ。俺がまだ若いし、大人しいということで、その女のミスを俺のせいにされたり、苦情を俺の原因にされたり、だから俺も攻撃に出たんだ。銀行がどうい所かをきちんと見せる必要あったからなんだ。女の城にされては貯まったもんじゃない!と。俺はカウンターの中ですれ違いざま、脚を掛けて、その女を蹴躓かせた。こころの中はルンルンさ、みんなは真似しちゃあいけない。やられたら、やり返していい時代だったんだ。その頃、銀行が行け行けドンドンの時代、女どもも調子に乗ってた。俺は一度しかその療法は行わない。自分の中で、後から、味気ないものが噴出したからだった。やられたら、やり返す、今、ニッポンで、その手法を使える奴ってのは、大企業に所属していない個人しか出来ない。キャロルもローソンという巨大旗艦の一員だからさ。