西🏝姫瑠のアディショナルタイム(294)

 

本物のケチ、筋金入りと、35年暮らしても、あたしが、ケチ色に染まることはなかった。そのセンチュリーホテルのレストランでの出来事が大だった。昨夜も、庄屋で茶碗蒸しがあとから遅れて、テーブルに来たんだけど、その初デートのとき、茶碗蒸しがかなり遅れて、結局、気が短い彼は席を立った。何やら、帰り際のレジで交渉している感じ…しかし、あたしはまだ29歳の小娘だ。初デートだし…って気にも掛けずにいようとするけど、交渉する彼の顔が真剣なゆえ覗き見をしてしまったんだ。彼は値段を茶碗蒸しの分だけ引け!って相手に迫ってる…初デートのとき、そんな馬鹿をやらかす男は、世界中探してもいない。あたしは、そのとき、決心したんだ。あたしはあたし。彼は彼って。ケチは身の程をわきまえないからね。自由に泳がせておくことにしんだ。