デニム・ブルーママン18の7

 

大村の夫妻は家に到着しタヤの枕元に座り手を握っています。最期ではない・・・とあたしは快方に向かう方を予想していたのですが、まったくそうではない言葉がタヤの口から飛び出して来るのです。これまでありがとうございます。感謝してもしきれんくらいしてくれて・・・私は固唾を飲み込む。タヤがそれを吐くということは、何を意味するか理解ができたからです。私は精一杯生きたタヤの人生をそのときほど思ったことがなく、とうとう、自分は打ち解けてタヤと話すこともなく、終わってしまうって・・・本当にそれでいいのか??大きな大きな疑問符でした。しかし姉たち夫婦が帰宅してすぐお医者様を呼ぶとご臨終ですと言い渡されるのです。私はどうしていいか分からなかった。こんなに突然黄泉の国に運ばれていくなんて・・・もっと優しくしてあげれば良かった。容子が帰宅してすぐに話しましたが信じられない顔で佇むのです。何の病気?なにが原因で?って。医師が言うのはもっと速く、入院をしていれば違ったのかもしれないということでした。往診の形が昔は多かった地域でしたが、即座に大きな病院へ行っていれば、違っていたのか・・・突然で夫も夫のもうひとりの姉もすぐに駆けつけて来たけれど、死に目には会えなかった。私は、未熟な自分を責めました。こういうときこそ、傍にいて介助をしてあげるのが役目なのに充分に果たせなかったからです。(24316)☆陶器はひがながセリア、カレンダーは出光☆