ブラックオニキス・マン178

 僕は明日、31歳になる。ハヤすぎて信じられない、この前だったように思う。三十代になって何も変化はない。取り立てて言うことがない。しかしそれが平穏無事の総体だろう。今にして思えば僕が生まれてこの31年もの間、これだけ、マスクを装着しての数年は予想だにせず、今朝はセブンイレブンで起きぬけの顧客が、マスクを忘れてきた・・・すまんすまんって母にしきりに謝るけど、そこまで謝らなくてもいいのに・・って優しい母は思う。そして顧客はこう言うのだ。僕はしっかりワクチンをしています!!だから、心配はご無用です!!って。なんかそういう風景が、母はいとおしいのだろう。なぜなら、マスクをせずコンビニに入るのは、もはや、度を越した失礼になって今日に至る。常識の上を行く常識に面食らった母である。そして今日は僕たちの祖母ミチ子のの命日だ。母は自分の成しうるべき仕事を母親が生きている間に到達したかった・・・は悲願だった。しかしあれから十年が経過しても母はあのときのままで、何も変わらない。元気に過ごしている。成すべきことはどうなったの?って僕らが思うことは依然としてない。母がなにかに到達するって思うから虻蜂足らずに陥る。母はもう成すべきことは達成して今日ある。時代のせめぎを恐らく今朝は詠むだろう。マスクをしないで家を出て、セブンイレブンに入って気がついた顧客は、レーズンバターロールパンを購入して家に帰った。失礼を致しまして大変申し訳ありません・・・とそうレジ係の母に謝ったのだ。時代は確実にターンを開始している。