デニム・ブルーママン17の4

 容子はあることに傾注していたものの、親には全く話さずに切り抜けていたのです。それは担任と夫のやり取りでわかったことでした。本当の留年を経験して立派にその高校を巣立って行った例を挙げて、夫に担任が示唆したことです。転校を取らずとも方法はあるんですよ?っていう提案だろう。しかしそれほど、酷な案件はありません。晒し者なのです。私が容子の立場でも嫌です。落第生に見なされ世間から冷たい視線を浴びて毎日は地獄の様相を呈してくる・・・しかし担任は真に学問が好きならそのコースが本人の為になると話したそうです。夫は感動し、なるほどな・・・って思ったそうです。ここに世間と本人との垣根があると私ははっとしたほどです。容子は女子です。なんでそこまで、学問にのっぴきならない状況に据え置かれるのですか?まったく、解りません。しかしそのときほど、夫が純粋に学問の虜なことが明確になった場面はないのです。女子が世界をリードする時代の幕開けを夫は心に描いていたのだと思います。そこでは知識が取り沙汰され、学問への意欲だって同位です。過去何に挫折し、それでも屈することなく、立ち向かい、克服までやってのけたのか?私はどちらかというと、女子への期待はあっても形だけでは?って偏見と懐疑を抱いたほうですが、夫は全くピュアな気持ちで容子がここで試されている・・・とまで思っていたようです。留年してでも、この高校に残る価値はあるんだ・・・って。私は、理想家の鏡と対峙していたのです。