ブラックオニキス・マン156

 僕が小中高と一緒だった友達のお母さんと一緒にバイトするなんて、なんていう奇遇?って母は驚き、もちろん向こうのお母さんも驚いたという。ふたりとも同じくらいではなく親友のお母さんはまだ、僕の母よりかなり若い。女性に年齢を聞くのは失礼になるし、それをなるべく訊かずにおくことも礼儀であるが、母は年齢にあまり拘らない。年齢に従って物事を捉えないタイプといっていいだろう。母はどうすれば金銭的にうまいとこ回っていくか?を僕らは兄弟でこんこんと説教したことがある。まず、家でご飯を炊く。それが手始めだと僕は踏んだ。他の兄弟も僕と同じことを言ってくれた。そこを履き違えていては何もスタートはしない。次はすまほ代の節約だ。僕たちはマンションで、ワイファイが来ているから安く済む・・・って言い訳をしながら母は攻防するけど、ギガなんてそこまで必要ではないだろう。そこを僕らは強調する。まともな暮らしにはそこまでギガは必要はない。それなのに、すまほでテレビを見たりするから、余分な労力をすまほに懸けてしまう。僕はしかし強制は出来ない。いくらなんでも母に強制は子供として出来ない。意見は言うけれど、そこまで親に対峙出来る立場ではない。日々の節約がどれほど庶民にとって大事なのか。僕は父に直伝された。その父の家計簿を母はしっかり保管した。たまに勉強していると思う。それを活かすときが来ている。父が本当に言いたかったことが何なのか?父の直筆行間から読み取るしかない。