ブラックオニキス・マン150

 新しい扉が開かれてそこに招待されているのは世界中の人々だ。それを母は開口一番いいたかったのでは?を僕は推察する。胃の中の蛙にしてもう食っている連中がいる。それはそれで、いいのだ。しかしあくまでも母の作品は母の意中の人のものでなければならないし、それは兄たちふたりも同様に考えているはずだ。母の作品が長い間、著作権もなしで、宙に浮いてそれはさも当たり前のような仕草でいた世間だが、それは間違いだと思う。作品の権利は間違いなく母にあって当然。しかしその先を言うまい。誰かが恥をかくような事態には及べない。母は世界中に門扉を開けて宣言をしたいのだろう。やりたいようにやらせていいと思う。金銭を得るための土日祭日というと僕らがちょうどしっかり休息を獲っている時間だが、そこでの対比も面白い。土日祭日をいかに燃焼するかで、人生に格差がつくことを母は前から言っていた。貧富の差異の知的版と言い換えてもいいだろう。スポーツでも構わない。自分がやりたかったことに汗水たらしてみる。土日祭日だけの介護職にはいっぱい志願者も現れるだろう。僕もそこを申し込むかもしれない。母もかつてからコンビニが大好きですかさず応募し勤務した。厳密に言うと週に2回、一泊勤務をこなしそれを9ヵ月間続けた。おでんの浸かる汁器を始めとする様々なメンテナンスを経験し、夜中に一旦リセットする業務の大事さを学んだと言ってた。僕らがすがすがしい朝、旨いコーヒーを飲むことが出来るのはメンテナンスにいそしんだ深夜スタッフの苦労が物を言う。それに気がついたら人生も濃厚になっていくのだろう。