デニム・ブルーママン15の10

 恋多き人生を過ごせる人はまず、生い立ちからどっちかのパターンを有しています。薄幸型か、それとも深窓型なのか。後者は、マレにみるラッキー・ガールだったりして、ハントされスカウトされて芸能世界に引っ張られてくる。しかしやはり、作家の脳を刺激するのは薄幸でなお、後年、光り輝く地位を獲得した方々でしょう。戦後さまざまな女優や歌手が出て来て私はまず、ハンサム型に憧れ、この人物たちの生い立ちを自分で想像したりするのが趣味だったのです。しかし知りたいけど当時は情報は限られています。だから演技の中できらりと光るもので嗅ぎ分けていたと言える・・・その深い洞察や想像域を容子がきちんと解読するにはまだ、早くて、自分の恋愛感情をどう処理するか?で私も様子見にとどめていたことは意外ですね。恋愛もするな!!って言えば相手は強硬になっていく。天邪鬼を、恋愛自体は飼っているのです。つきあったら駄目・・・って言うとロミオとジュリエットになる。だから一番良いのは外野席のチケットを買って、相手が困ったときに、烏合の衆のひとりとして軽く助けること。それくらいで、充分なのです。誰が一番この子に合っている?とか家柄とか考える必要はありません。そこを人生という大海原は教えてくれる・・・あたしたち元軍人家族を本当にまごころで受け容れてくれたのは他ならぬ庶民。だから容子は庶民をベースに常に物を考えるのです。