ブラックオニキス・マン137

 執筆を優先しそれが担保出来なければ家事もしない・・・こんな主婦が赦されるわけないが、母が自分のやり方をまっとうしたことが今になって礎になる。人の性向の種類が様々あるということだろう。優先順位を狙い先に主をやり終えないと気持ちが乗らない人と、後から、時間の空いたときに任務の残りをやり遂げる人。前者も後者も存在している。僕はどちらかというと母に似ているかもしれない。残しておくことが出来ない。後で出来るって想うことにリスクを禁じえないタイプかもしれない。僕と彼女にもうひとつ面白い語句を別れる前に話してくれてそれを今朝は紹介したい。スプリングは春という意味ともうひとつ、母は捉えていたのがスプリングだ。俳句で懸けるという行為に関与らしい。春はベッドのスプリングが壊れやすいってそれは狂歌や川柳の世界の話で、母は真面目な方で春とスプリングを懸けていたことが僕の幼少期にわかった。ふわふわのスプリングが効いたベッドにもう何年も・・・寝てないのよね!?って。僕たちとは違い母はホテルで一泊しての結婚式。久しぶり眠れると思いきや、スプリングが効いてドキドキで眠れなかったらしい。宇宙飛行士が宇宙遊泳するみたいにとってもスプリングは気持ちいいのよねえって。それは恐らく、母のことだからベッドメーキングをするときに、家事が苦手だった母らしく、カバーを嵌めるときの大変さだろうと僕は推測する。四方をかけ合わせるときにベッドの上で倒れる。主婦の要であるこの仕事も母は俳句と兼ね合わせて空想しながらスプリングと春を懸けていたことがわかり深かった。

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