ブラックオニキス・マン136

 葬式の費用が出る保険に母は加入し、メモリアルパーク購入用に別の死亡保険にも入る。亡くなったら、父の遺骨と一緒の埋葬を望む母だけど、本当に父と一緒に納骨していいものだろうか?どの兄弟に尋ねてもそこは疑問符がある。確かに形は整う。夫婦はそういうお墓で黄泉の国での時間を紡ぐとそう解釈するのが普通だろう。しかし・・・僕がそうであるように兄たちにも疑問はあって母を自由に羽ばたかせたい!!っていう願いも自然に湧いてくるから不思議である。お互いを認め合う個々だった・・・っていう結論だろう。同じ鞘にいても二人は全く違う人生を頭に描いていたからだ。父は夫婦で貯金を一杯して、悠々自適な老後を望んでいた。しかし、母は放浪の中からしか本物の執筆は出来ない…を早くから言ってた。それを経験する為に旅にも出て試した位だ。父が豊富に貯蓄していたお金は、見事無くなっていた。父が亡くなって判明した。想像していたよりも遥かに少ない遺産分与となったが、母を責めることは全く出来ない僕達だ。第一、僕らが出来ない介護に邁進してくれた。沢山の視野も、その現場から頂き、執筆材料にしたはずだ。そこを思うと、なお、一緒のお墓に埋葬はためらいを伴う。母の魂が、狭い場所での二人っきりを嫌うのでは?も浮上してくる。タイニーメモリアルパークに埋葬して欲しいっていう保険はどう使うべきなのだろう。海の底に行くのは死ぬよりも辛いらしいから、その線は消える。僕なりに兄たちと相談して決めたい。

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