デニム・ブルーママン14の5

 トイレの便そうを覗き込むうちに、めまいがして容子は覗くのを止めたと言っていた位に深いのです。そして当時は、うちみたいに、人数が多い家。蓋もしません。男性専用は手前に一基ありました。私はくさい臭いとそしてアパート時代が水洗だったゆえに、回顧し、くやしがったほど・・・ああ、なんであんなに最高のアパートを引っ越さないといけなかった?って。でもそのことを脳裏の思考を容子に読み取られることを恐れて、すぐ他の思考へと瞬間移動させます。自分のせいで・・・を容子に追想させることは避けたかった。ここを選ばざるをえなかったことは、あの子は忘れ去らないといけない。何回も思い返しているなら、まずかったのです。人は常に、心に、足かせのようなものを持っていると捉える方の私です。責任感が強い人ほどそれを持っている。しかし容子は自由に育成したかった…私には次なる狙いがあったのです。人に影響を及ぼすことはあの事件が最後・・・なぜなら次の枠組なら、ずっと安全パイの人間だからです。私はあの事件を心痛に捉えて、安全パイの凄みと安定位置を悟った第一人者かもしれません。例えば夫のような男性は安全パイでぎゃーぎゃーおめくだけ(おめくは長崎弁で大声をあげること)ちっとも大物ではない。しかし慄然と知識の上でものを言える人間が、安全ではない囲炉裏でパイを焼きだしたら一体どうなりますか?国民もこぞってそれを鼓舞したり或いは自分もパイを焼き始めるでしょう。容子は作戦を随時、私に念写して送ってくれていたのです。

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