イエローダイヤ・マン1388

 僕は今、追想2017というイギリス映画を鑑賞している。つぐないの原作者、イアン・マキューアンの初夜が映画化された作品。観るのは2回目だ。彼氏がテニスを自分の父親とプレイすれば、親交がきっと深まるに違いない…と期待する主人公のフローレンス。頭の中はバイオリンの弦だけでここまで来た芸術家だ。しかも結婚資金も援助したい、職も自分の会社にポストを用意すると提示される。テニスだって、出来ないなりに、やらなきゃあと彼にも発奮があったろう。しかし、その態度が父親を激高させてしまう。父親はテニスのラリーを求めていたのに、肩透かしを食らい娘の婚約者に失望する。そして彼も、父親の会社に勤務したいとは、どうしても思えなくて、彼は正直に自分の意思を彼女に表明。二人の信頼関係に亀裂は入る。最初観たときは、僕は勘違いして、テニスは上司との交流だと思っていた。しかし、結婚相手の父親…家族になる運命の人だったのだ。傲慢な性格を彼は父親の言動から嗅ぎ取る。虫唾(むしず)が走るくらい嫌なタイプだったのだろう。僕は別れて正解だったと今は思う。芸術家にとって結婚ほど辛辣な形はないからだ。その環境にいて大成出来る人物は希少で限られた人々だと改めて想う。