デニム・ブルーママン11の7

 家族親族、或いは学校、近隣、巷にいる沢山の女性をそれまで見て来て、初のタイプがきっとクレオパトラだったのでしょう。美しいことが女性の人生をダイレクトに変えていく。絶世の美女だからこそ人々を釘付けにする。そして惜しげもなくその身を捧げる男性たち…様々な女性の生き方のひとつを知る機会だけではなく、クレオパトラの鼻は大きな転換期を容子に示唆したことは間違いないと私は想像する。美しい鼻とは無縁過ぎた容子です。それは階下に棲むイトコのよっきちゃんの執拗な物言いでも、充分に分かっていた経緯…みんなは自分の欠点とどう向き合いますか?美醜はしかし、生まれついたもの。本人には解決や対処は難しい。後年、容子にはふたつの評価が付きます。ひとつは決してべっぴんさんではない。しかし、それとは違う嬉しい評価も出てきます。(気配りがあって)瞳はいつも輝いているって。本人は後者の自分の姿を継承していくしかない…を自覚していました。