ルビー・ウーマン956

 マディソン郡の橋を今朝また観ながら女性がグッと来る言葉を拾う。カメラマンがこう言うのだ…あなたは決して単純な人ではない。この言葉の裏にはあなたは、洞察力のある理知的な女性ですよ…この含みはある。なんか、手練手管を禁じ得ない。ロバートは案外、ジゴロだった…とそれを感じずにはいられない。女性を怒らせつつ、相手に発破を掛けている。恐ろしいプレイボーイの可能性が高い。しかし、その彼をも遂に恋に堕ちさせたのが、フランチェスカの純粋な心根の在処だろう。どれくらい、家庭人として、伴侶や子供たちに尽くしたのだろう。その膨大な時間を思うと、涙が溢れてきて私の頬をつたう。今、じわじわと再評価されている実力がこの映画にはある。五万とある恋愛映画の中でも秀でるのは訳がちゃんとあったのだ。一番目の成功の秘訣は監督であるイーストウッドメリル・ストリープを確信で選んだ眼光だったのだろう。