アクアマリン・マン10

 あと一歩…という処で、へこたれてしまう容子がどうにかこうにか、ここまで来れたのも、巡り合わせのお蔭だろう。これからも、無理することなく、みずからの意思を大事にして前に向かって欲しい。僕のいる黄泉の国は悠久で誰もが平等に時間が流れ、ありし日の現世でどんなに頑張って稼いだとはいえ、そこでの地位がここで差になることはない。そのカラクリは実に見事だ。今は現世に戻りたいとは、特に思わない。叶わない夢であることに気がついた。しっかりと手綱を握り容子には踏ん張ってもらいたい僕がいる。物書きは切ない商売だ。額に汗して頑張る姿をどこに見出すのか?誰も見てないところで精進するしかない。難しく考えない方が良い。見る人には見える世界でもある。焦らずじっくり極めて欲しい。