デニム・ブルー・サファイアママン8の6

 誰もが心に悩みを抱え、忸怩たる思いを抱えている…とそう、捉えがちですが、あの子にとっては願ってもないチャンスが到来していたのです。兄弟のない寂しさから開放されるだけに、とどまらず、階下の人々の人間模様を通りすがりに垣間見ることが出来る。こういう機会は滅多なことでは得られないチャンスです。容子はあえて、社会の序列には、目を瞑る。見ないことにしたのです。まだまだ男中心の社会は大勢を握るものの、寛容な父親をじかに、見ていたことで従来の既成概念からは外れた思考を、展開可能だったことは言えます。私のウエストはもはや、56センチではありません。ごろごろしているうち、じわじわと太っていくのです。容子はそういう私の変化をしっかり観察していたのです。