デニム・ブルー・サファイアママン7の12

 奇妙な伏線が容子と私の間に確約としてあったことは話しておきましょう。そのことは階下の住人たちも時折は不審に思って論議に挙がっていたことで、それを遠目に聞きつつ自分でもこの界隈の恐ろしさを身につまされていたことがあるのです。人の噂の信憑性、そして怖さです。夫は口が軽い上に正直でポロっと出るのでは?と恐れがあったこと、容子が起こした罪について事件についてを正直に話してしまうのでは?は常に怖さとして想像の範疇にあったことです。階下の人々も、なんでここまで義母を嫌っている人間が、こんな田舎の町に引っ越してきたの?何かあったのでは?がありました。教員というのは耳年増です。想像力が並外れてある。こんな嫌悪があってなおかつ向こうの生活をすっかり捨て去ったのには、それ相当の何かがあった??とするのが正常な認識。容子は秘密にしてくれた私と夫に感謝をしていたのです。もしもどこからか漏れれば自分の立場はない。これから築くべく新生活に陰りが生じてくる。言い訳だって必要になってくる。黙って沈黙を保ってくれてありがとう・・・は幼いなりに心中深くあったこと。第一の感性を彼女が捨て去ったことは明確だったのです。それは感情的な荒ぶる感性。第二の感性はそのあとに急ぎ構築されたものでしょう。ボランティア精神に満ち溢れ、人様を第一に捉えうる、理想の感性だったのです。