デニム・ブルー・サファイアママン7の3

 もう一回時間を巻き戻すことが出来たなら?ってそう思う瞬間があります。梓さんのこんにちは赤ちゃんが大流行し日本全体に赤ちゃんの歌が響いていたあの時代。その発端となったのは、中尾ミエさんの可愛いベイビー、卓越した歌唱力にはたじたじになってしまうし、みんなが赤ちゃんの到来を待ち侘びていた。いじめも今ほどはない時代。もちろん落ち零れという言葉もまだありません。その頃のいかにも日本の元来の姿が私の家族をも牽引して、元々アメリカでヒットしたものが日本でカバーされたもので凄まじい赤ちゃんブームを巻き起こしていたのです。どこへ行ってもこんにちは赤ちゃんが流れて祝福を受ける!!あの頃の日本をもしも取り戻せたなら一応すべては完了だと私は捉えます。容子もこの曲の着想がいい!!って太鼓判を押す。明るいし、未来は輝いているって楽に想像出来るって。まだ出産までほんの少しの時間の猶予があって母の形見のお琴を二階で爪弾きながら色々な思いに浸る。ゴールデンウィークが終わっての出産でした。最後の診察も終えて、予定日の一日前の入院を予約し、その帰りに私ひとりで友人の元を訪ね、落ち付いてからピアノの練習には行きます!って挨拶を済ませます。彼女は私の後ろ姿を見ながら見送ってくれます。もしも向こうにいい先生はいないか?そこは当たっていくわね?って。連絡網のような先生同士のコミュニケーションズを彼女は持っていたのです。