デニム・ブルーサファイアママン6の19

 夫の甥っこは嘉樹と言います。鋭い感性と批判力を持ち合わせていて私と夫の前妻を徹底比較し、違いを挙げ連ねてきたのです。もちろん私に向かって言うのではなく、通過する容子の歩みに合わせて振ってくる。容子は親睦心が旺盛で、なになに?って耳を澄ませます。すると容子にとっては従兄にあたる彼は弱冠21歳でありながらも人の道を諭すのです。挨拶くらいは当たり前だと思う、前の奥さんなんか、皇后陛下のように美しく楚々としていたぞ・・って。私はなぜ、皇后陛下がそこで出て来るか訳が分からないけど、遠く二階の襖を開けて、そっと聞き耳を立てています。美しい楚々とした奥様がいたことを、容子に知らせたかった・・・とすれば他愛のないこと、私もキッチンに行くべくが、面白いので聞き続けているのです、また、鼻のことで容子を茶化すかも?ってそれもあった。何か得体の知れないマグマがこの家に充満していてその赤ちゃんが亡くなったことをまだ、容子が知らないことで、配慮もあって知らせることまでしないけど、雰囲気がものものしいのです。容子が生まれる前に、五歳上の姉、京子がこの家で一歳まで大切に育てられていたことを私は聞かされていたのです。美しい鼻筋の通った娘だったと言います。それに比較してお転婆だった容子の風貌を甥っこは是非とも言わずにはおれなかったのでしょう。