デニム・ブルー・サファイアママン3の10

 一年の後、言葉が湯水のように溢れてくるのもまさか、私達が口論ばかりをしていたことが原因だとは知らず、てっきり他の要素を探していたくらい子供が脳ミソに受ける刺激について無頓着だったのです。美しい穏やかな言葉で育成されるのと厳し過ぎるなじり合いの中で育成された子供には脳に雲泥の差異があったのです。しかし容子には父親の穏やかな感性と対峙する時間があったことで幾分刺激は薄まって、父親がなぜ、毎日攻撃を受けて久しいのかを子供なりに解決に向かっていて、夫へ直で示唆まで与えていたとは後に知るのです。私は家計を全部受け持ちたかったのに夫は生活費しか渡さない。それが不満だったのです。心の中で思っていて言わない方がなおたちが悪いと思い何回も談判したのですが埒は開かない。もしも彼が無駄使いをしないサラリーマンならなんともなかったこと・・・しかし敵は買い物症候群だったのです。デパートの地下だけではなく、築町の露天でも絶えず行商人と話をしながらどんどん買い物袋の中身は増えていく。私はどうすれば彼の買い物癖が治るのか?はたと考え込みます。これは明らかに浪費です。私は家計を司るためにも彼が全給料を私に任せてくれるようにお願いする。あっぱれな敵は周到に弁解を重ねるのでした。