デニム・ブルー・サファイアママン3の7

 鹿児島の男は滅多なことではひと様に迎合はない。それに反して夫は一歩出れば七人の敵が男にはある・・・と言いながらかなりの人数の人と接してはしゃべりまくり私の心も動揺を余儀なくします。話さなくても、いいことばかり・・・しかし根が人懐っこいのでしょうか。一歩ドアを開けると外交的になってしまうのです。鹿児島は男は兵児帯を必ず付けていました。それがまるで無い状態の夫を揶揄してあだ名を付けていたのです。この”ヘコナシ”が容子を後年悩ませるとはついぞ思わず頻繁に使っていたのです。だらしない男という意味で・・・。ヘコナシを何度も耳にするうち、容子はしまいにはある程度の意味を想像するように変化していったのでしょう。恐らくは男の中の男の反意語だろう?って自分で定義付けたことは言うまでもない。そういう風におしゃべりな男が私は大嫌いだった。確かに近隣友好は深まるでしょうが、私はひと様に家の中のことを知られたくはないタイプだったのです。まるでけじめが見られない夫に何回も注意します。しかしいっこうに効き目はない。もうあの時のように包丁を使うことはしません。相手にじかで取っ組み合いの喧嘩を仕掛けていったのです。人は誰も私のことを責めません。心に僅かですが、迷いはあったのです。しかし結婚がクリアになってお互いの主張を分かり合い、納得し合うためにやむをえない措置だったと振り返るのです。