アクアマリン・マン151

 吉のある数字に来ている。これが容子の六歳からの新天地になる実家の番地だが、12年前、区画整理がこの地域一帯で行われた。僕が嫌いな四の付く地盤に突然変更になっている。僕が四を忌み嫌うのは差別的な性向だと、何度も容子に反発を食らってきた。なぜ、4はだめなの?それって、いじめじゃない?って。いや、どうしても、それは不吉に思えてしまうから、僕は嫌悪してしまう。敬遠だ。いつからか、それを分からないように心の中でのみやるようになった。しかし、容子には歯が立たない。心の奥の襞を読み取ってしまう。我が家も最初は滅多にない、いい番号だったのに区画整理で四絡む番地になってしまう。こういうのを決める時は役所が相手の気持ちにも充分な配慮をして欲しいものだ。つとに思う。4っていうのはやはり、日本人は死をまず連想する。これは一般通常認識。銀行でも間違いなく四は凶だった。もちろん顔に出して言うものはいまい。僕だって心では、アチャ・・って思っても絶対に声に出しては言わなかった。以前だったが、テレビで温泉宿の紹介で脱衣ボックスの番号を年老いた女子たちがそれぞれ選んでいた。やっぱり・・・4は最初からボックス自体ない。そのとき僕は安堵した。日本には暗黙の了解というものが既にあること、しかし容子はアッケラカンとして、なーに?ってやり返す。そういう暗黙の了解さえも容子は座布団にして平気で座ってしまうだろう。充分に注意した方がこの先は安全と言える。