デニム・ブルー・サファイアママン2の11

 退院して暫くは狭い部屋でせっせと赤ちゃんを養育することに精を出すもののいずれにしても思い出せないこともあって、今も振り返っている。あのアパートにお風呂があったの?それともなかった?湯を沸かすことは出来た。料理は出来たから。しかし今もって詳細が思い出せないのです。トイレは水洗でそこははっきり記憶がある。もしも風呂があったならなぜ?近い場所にある銭湯に毎晩のように通っていたのか?自分自身が記憶のかなたにあるものを、無理してでも引き寄せようと努力してる姿勢が見える。夫は毎日のように赤ちゃんに猛烈なキスを浴びせてきます。そのアクティブな姿を私はカメラで撮る。そしてアルバムの各ページに添え書きをしたためる。今までは赤ちゃんに関して辛い思い出しかなく、前の結婚のとき、幼子を病で亡くしたこと・・・。そこは彼のトラウマになっている。けど、この子も同じように病気で亡くならないとは、誰にも言い切れない。私は家で小鳥を飼っていました。毎日水をやるのが楽しみだったんですが、なかなか子供が出来るとそれも大変になっていること、そして学校へ戻る日も刻々と近付いてきていたのです。夫の実家の義母タヤからも催促がかかっていました。早く見たいのを抑えられないのです。