ブラックオニキス・マン69

 今の世の中とは全く、違う様相を母から聞き、未来に暗澹とした思いを描くばかりでは良くないこと・・・そこに気が付く。母はこう言うのだ。これまでマンションは必ず、賃料を入れて棲んでたか完全買い取りの分譲。しかし僕達の未来はそういう安易な構図にはないというのだ。生活ランクも、およそ今までの半分まで落ちる。今のシニアの富裕層が最後の贅沢組らしい。しかし健全な社会の創出に着手がなされ、食べるものに困ることにはならないという。本当にそうなんだろうか?とにもかくにも僕は一月からアルバイトでもやることにした。探して面接受けるのに疲れてリタイアした訳ではない。母も重たかった腰を上げてアルバイトに赴く決心したというその勢いに押された。僕だけアルバイトなんか・・・って言えない状況で、煙草もより安いものに、リーズナブルなものに変更した。名前に+が付く。母にナナコの一万円分をくれた感謝を言うとあんたも貧乏になったわよね~~一万円ぐらいでそんなに感激されたら困っちゃうわ~~って。確かにそうかもしれない。職がないことで僕は彼女に奢ってもらう。アミュプラザの食堂街で、パン食べ放題の鎌倉パスタ。感動で涙が止まらないけど・・・それを彼女に見せる訳にはいかない。