デニム・ブルー・サファイアママン20

 生徒たちの中には極貧の子供もあるし、中にはそれとはうって変わって、裕福な家に育まれる子供もある。教師として自分はどこかで時差があることを直感する。今の今、ぴったり時間が合うのが利発で、いいとこの家の子供。しかし時差がありすぎる子と話すとき、不思議と発見があるのです。それは自分が想像だにしなかった秘密基地の会話みたいにぞくぞくするのです。オレ、かあちゃんと昨日の夜、泣いたんだ・・って。でも私には何も出来ません。そういうとき、もう一回その子供を振り返って、話してあげる自分であれば納得出来るのです。それをするべきと何回も試みました。優等生の容子はまったく悲喜こもごもはないのです。常にきりりとして微笑む。自分が励まされている生徒みたい・・・しかもこれ、配ってたほうがいいですよね?って帰りにみんなに配るつもりだったプリントを指して、率先し、話しかけて来る。先生!!結婚するんですね?って。私は堂々としていようとリキみます。あなたのように良い子が授かると嬉しいわ!!って。彼女はそれでも言葉を選びつつ、心がけがいいようであたし、家ではいつも叱られているんですよ。おっちょこちょいって。ええ?そうなの?生徒の一人ではあってもすでに彼女の人格は確立し、大人の受け答えが出来ていた。今思えば、ああいう暗い時代だったからこそのリーダーの存在だったんだなってわかるのです。