イエローダイヤ・マン1167

 僕は明日から二番手になる。ファーストを納めるのはオパール・ママンだ。僕はそれでもいいと納得する。なぜなら僕よりも前に誰かいた方が少し嬉しい。安心出来る。いつもトップバッターには無類のプレッシャーがかかる。そのことを知る故、追随する。僕は昨日、ある映画を見ていかに自分が馬鹿なのかわかった。こころに剣士をっていう映画。フェンシングを扱った映画だが、この先生の美しい心に参る。子供の様子を隈なく観ている。自分がひとり練習しているところを見られたその少女に、最初素っ気なくしてしまう。ひとりでは出来ないスポーツだよ?って。しかし呼び止め、キーホルダーを渡す。なんていう心の持ち主だろう。この気高さを恐らく日本の教師は全員持っている。なぜなら僕はまだ、フェンシングのあの棒の先っちょがあんなにしなやかに曲がることを知らず、曲がらない細刀だと思っていた大バカ者。自分が自分で恥ずかしい。苦しくて追われる身になったのも戦争が関与していた。ドイツとソ連の板挟みでエストニアは翻弄される、みんながソ連による制圧の下敷きになっていた。それもこれも独裁者のせいだ。しかし・・・いつか先生は帰ってくる。戦争が終わったから?いや、そうではない。独裁者が亡くなったことで縛りを解かれる。しかしあのキスシーンは長すぎて、僕は、ながくね??を強く思った。レニングラードに試合に行く汽車を待たせて、あんなことしてはいけない。せめて半分の時間にするべきだ。