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 義母の印象もかなり私の否定に拍車を掛けていたことも言える。表面にすでに気の強さが出ていてそれを隠そうとしているものの、自然と滲み出る精神面のしたたかさ・・・前のお嫁さんは一体どうなったのだろう。離縁したとはいうもののその辺も詳しく聞きたかった。しかし尋ねるまでもない。自分は結婚を断念したのだから・・・って。しかし彼はアパートの階段に座って帰宅時を狙ってを待っている。今で言うストーカーです。当時はまだ規制法もない時代。道端で話す気持ちにすらならないのにお申し込みしてみようよ!!って彼は誘うのです。千歳町に新しいアパートが出来る、この公募に申し込んで当ったら新生活を始めよう!!って。私の心は少し動きます。アパートの響きです。新しい語感に心が一瞬ときめいた・・・っていう紛れもない事実を彼は見逃さない。許してもらえるのなら僕はなんだってやる!!イクメンという言葉はまだ当時ないですが彼は、僕がおむつも洗濯します!!って。すぐさま浮かんだのはスタンドプレイという英字です。彼の言葉に乗っかってしまうことは危険極まりないこと、まず義母は強すぎました。敵も大勢いるに違いない。自分は静かに暮らしたかった。それが本望だったのです。